様々な予防接種に対応
当院では、インフルエンザ、肺炎球菌、帯状疱疹、子宮頸がん、新型コロナなどのワクチンによる予防接種を行っています。
予防接種を行うことで、その感染症への感染が予防できたり、感染してしまった場合の重症化が抑えられたりすることが期待できます。高齢の方や持病がある方は、ひとつの感染症にかかってしまうとそれによって体力や抵抗力が落ち、肺炎など別の病気を引き起こしたり、持病を悪化させてしまったりするリスクが高まるため、予防接種が勧められます。
予防接種で用いるワクチンは一度侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体が再び体内に入ってきた際、その病原体に対抗するという、人間の免疫システムを利用したものです。この仕組みを利用したワクチンには以下のような種類があります。
- 生ワクチン…生きたウイルスや細菌の毒性を最大限弱め、病原体をそのまま使用したもので、麻疹・風疹ワクチンなどがあります。
- 不活化ワクチン…ウイルスや細菌を処理して無害化したもので、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、百日咳ワクチン、子宮頸がんワクチンなどがあります。
- トキソイド…細菌の毒素だけを取り出して処理を行い無毒化したもので、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチンなどがあります。
- mRNAワクチン…ウイルスのタンパク質をつくるもとになる遺伝情報の一部を注射するもので、新型コロナウイルスワクチンが該当します。
インフルエンザワクチン
インフルエンザは咳や喉の痛み、悪寒など風邪とよく似た症状とともに38度以上の発熱や、だるさ、関節痛、筋肉痛といった全身症状が出るのが特徴です。毎年、秋の終わりごろから春先にかけて流行します。ご高齢の方や基礎疾患のある方では、肺炎などを引き起こし、重症化する場合があります。また小さなお子様では中耳炎や、まれに急性脳症を引き起こす場合がありますので、リスクを軽減するためにも予防接種しておくことをお勧めします。
インフルエンザワクチンはそのシーズンに流行する株を予測し、夏ごろまでにそのシーズン用のものが作られています。ワクチンは接種から予防効果を発揮するまで約2週間かかり、効果の持続期間は約5ヶ月間とされています。そのため、毎年、その年の流行期が始まる前の10~11月頃に接種することが大切です。
高齢者のインフルエンザ予防接種に関しては自治体による補助があります。
参考:高齢者インフルエンザ定期予防接種|春日井市公式ホームページ (kasugai.lg.jp)
肺炎球菌ワクチン
肺炎を引き起こす原因の第1位となっている肺炎球菌は常在菌と呼ばれるものの一つで、もともと人の鼻や喉の奥にもいる身近な存在です。しかし、年齢や病気の影響などで免疫力が低下していると、肺炎を引き起こすことがあります。肺炎球菌以外にも肺炎の原因はたくさんありますが、肺炎球菌による肺炎は重症化することが多く特にご高齢の方では致命的となることがあります。肺炎は日本人の死因で常に上位に位置している疾患でもあるため、肺炎球菌の予防接種をしておくことは大切です。
肺炎球菌ワクチンは定期接種となっています。対象となるのは65歳の方および60歳から65歳未満の方で一定の条件を満たす方です。
当院は春日井市の高齢者肺炎球菌ワクチン定期予防接種の指定医療機関となっています。
詳しくはこちらのサイトをご参照ください。
高齢者肺炎球菌ワクチン|春日井市公式ホームページ (kasugai.lg.jp)
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹は神経に沿って帯状に炎症を起こし、痛みを伴った疱疹が現れるのが特徴の病気です。よく症状がみられる部位は肋間神経のある胸や背中ですが、顔、下腹部、腕、脚、お尻などにも出現する場合があります。原因となるのは水痘帯状疱疹ウイルスで、これは「みずぼうそう(水痘)」の原因ウイルスでもあり、最初に感染した際は水痘を発症します。このウイルスは治った後も神経などに潜伏し続け、加齢や過労、ストレスなどによって免疫力が下がるとウイルスが再び活性化し、帯状疱疹を引き起こします。
炎症がひどい場合は疱疹が治った後も痛みが続くことがあります。3ヶ月以上痛みが続く場合、帯状疱疹後神経痛と呼ばれます。帯状疱疹によって目や耳の神経が障害されると、めまいや耳鳴りなどの症状が現れ、重症化すると視力低下や失明、顔面神経麻痺など重い後遺症が残る危険もあります。帯状疱疹は50歳を過ぎたころになると発症することが多いため、50歳を超えたら、任意接種とはなりますが、帯状疱疹ワクチン接種の検討をお勧めします。
春日井市では帯状疱疹ワクチン接種費用の一部を補助しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
帯状疱疹ワクチン接種費用の一部を補助します|春日井市公式ホームページ (kasugai.lg.jp)
HPVワクチン
(子宮頸がんワクチン)
HPVワクチンは子宮頸がんの予防ワクチンです。子宮頸がんは子宮腟部から頸部の子宮の入り口付近にできるがんで、発がん性のHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスに感染することにより発生すると考えられています。HPVは主に性交渉によって感染し、性的接触のある女性であれば、50%以上が生涯に一度は感染するとされており、子宮頸がんの95%以上はこのHPVが子宮頸部に感染することによって引き起こされると言われています。
HPVには種類があり、現在16,18型をはじめ31,33,45,52,58型を含む15個程度の型ががんになりやすく、ハイリスク型と呼ばれています。これらに対応する2価(サーバリックス)、4価(ガーダシル)、9価(シルガード9)の3つのワクチンがあります。対象年齢は小学校6年生~高校1年生で、定期接種の対象(自己負担0円)となっています。HPVワクチンはすべての子宮頸がんを防ぐものではありませんが、子宮頸がんはワクチンによってリスクを減らすことができるがんですので接種が勧められます。
新型コロナワクチン
当院では新型コロナ感染症の予防接種を行っています。新型コロナ感染症は、発熱や喉の痛みなど風邪と似た症状を現しますが、重症化すると肺炎を引き起こし、回復までに長い時間を要する場合もあるものです。また、様々な後遺症が現れることも知られており、それによって生活や仕事に支障をきたしてしまうこともあります。新型コロナワクチンは、感染予防、重症化予防、そして後遺症の軽減に有効と考えられており予防接種が勧められます。
新型コロナワクチンの全額公費による接種は、令和6年3月31日で終了いたしました。現在、65歳以上の方、および60~64歳で心臓、腎臓または呼吸器の機能に障害があるなどの条件に該当する方には、新型コロナ重症化予防を目的として、年1回(秋~冬)に自治体による定期接種が行われます。この場合も費用は原則として一部患者さま負担の有料です。定期接種以外でも任意接種として、全額自己負担になりますが接種していただくことも可能です。
こちらもご参照ください
令和6年度以降の新型コロナワクチン接種について|春日井市公式ホームページ (kasugai.lg.jp)